泡盛復活の立役者はグリーンボトル -容器による市場開拓の例-
実は、この泡盛、昔は、「 泡盛 」は島酒(シマグヮー)と言って、中・高年専用の御酒、それも暗いイメージがあった御酒だったそうです。しかも、戦後、米軍統治下に入った沖縄ではウィスキーやブランデーが安く手に入ったため、泡盛は臭くて不味いと敬遠されていたそうです。実際、当時、泡盛といえばもっぱら家庭で飲む酒と位置づけられており、スナック、バー、居酒屋などの飲料店ではウィスキーウイスキーやブランデーのキープボトルがほとんどだったそうです。スナックなどで「泡盛」を注文するのはダサイ人、よほどの貧乏人、又は変人とみられかねなかったそうです。
そんな状況に風穴を開けたのが「グリーンボトル」です。
当時は一升瓶か三合瓶が主流であった泡盛でしたが、1978年、久米仙酒造では、それまでの泡盛のイメージを一新する濃い緑色のガラス瓶(720mlの卓上ボトル)に泡盛を入れて販売を開始しました。(ちなみに1978年のヒット曲は、「UFO」、「与作」、「サウスポー」、「飛んでイスタンブール」、「青葉城恋歌」、「いい日旅立ち」です。)この「久米仙グリーンボトル」であれば、スナックの棚に置いても違和感がないと考えたからです。また、このサイズであれば、ボトルキープも可能です。この洗練されたデザインの化粧ボトルは、女性や若者の間で人気となり、沖縄県内に留まらず全国レベルでの泡盛消費拡大の口火となったそうです。つまり、容器を変えることで、泡盛を女性や若者も飲む、少しお洒落な御酒に変えたのです。容器が泡盛ブームに火をつけたのです。今や、久米仙酒造に限らず、様々な酒造メーカーが緑色のガラス瓶の容器に入れた銘柄を揃えるようになりました。これは、既存商品の市場開拓の好例でしょう。これまで市場開拓されていなかった「女性・若者市場」、「飲料店市場」という新しい市場を開拓したのです。しかもパッケージ(容器)を変えるという非常にリスクの小さい方法で成功したというマーケティング戦略の素晴しい例といえます。
余談になりますが、この久米仙酒造では、本土の居酒屋チェーンの進出に併せて、この居酒屋チェーン用にオリジナルラベルを用意することで、この居酒屋チェーンに焼酎を卸すことに成功したそうです。しかも、その焼酎、折からの焼酎ブーム・居酒屋ブームの波にのり、大ヒットしたそうです。オリジナルラベルも大切ですね。
参考文献:泡盛「通」飲読本(仲村清司+酔いどれ泡盛調査隊著、双葉社)
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