プラスチックの材質説明
AS(アクリロニトリル・スチレン)は、透明度が高く、つやがあり、高級感がある樹脂です。
PS(ポリスチレン)と比べて耐薬品性、剛性、耐熱性が向上され、透明性、耐薬品性、寸法精度の良さを生かして、電気製品(扇風機のプロペラ等)、化粧品等に使用されます。
アルコールに弱い、衝撃に弱いという弱点もありますが、成型過程でひけ(成形後収縮による変形)が生じにくい特徴があります。インジェクション成形により、キャップやオーバーキャップなどに使われています。
ただしスクイズ性に欠けるため、嵌合(はめあい)を必要とするオーバーキャップには向きません。
PET(ポリエチレンテレフタレート)
ペットボトルなどでおなじみの樹脂です。ナチュラル(色を付けていない樹脂の素材色)では透明度が高く、光沢があります。PETはボトル用成形材料として急成長しましたが、その主な理由としては、①優れた強度、②軽い、③高い透明性、④光沢があるため、⑤外観特性に優れる、⑥ガスバリヤー性が高い、⑦添加剤を必要としないことから、安全、衛生性が高い、⑧リサイクル性が高い、⑨PETの性能を引き出す成形方法(2軸延伸ブロー成形)が開発された、ことなどが上げられます。
PETの用途としては、光沢・透明性・デザインの自由度から、化粧品、合成洗剤の容器として利用されています。
また、外観特性・バリヤー性・衛生性から、医薬品としても利用されています。その他、安全衛生性、軽量化、ガスバリア性、デザインの自由度から、ドレッシング類、アルコール類、清涼飲料水類容器として利用されています。
PE(ポリエチレン)
ポリエチレンは、プラスチックの中では弾性率が低く、柔らかい材料の部類に属するので、表面は傷つきやすいですが、反面、伸びは大きく、衝撃に対して強靭な材料です。材質の透明性は低く、半透明に見えます。ポリエチレンは、吸水性がほとんどなく、透過性は比較的大きい特徴があります。耐薬品性は他のプラスチックと比較して、良好です。ただし、強い酸に対しては酸化劣化を起こします。耐候性(屋外で使用された場合に、 変形、変色、劣化等の変質を起こしにくい性質)は他のプラスチックに比較してよい方とはいえません。
PEは製造方法によって生成するPEの分子構造が異なり、大別してLDPE(低密度(0.92)…高圧法)、MDPE(中密度(0.93)PE…中圧法)、HDPE(高密度(0.95)PE…低圧法)の三種類に分けられます。LDPEは、(密度の低いポリエチレン素材で、耐薬品性に優れた柔らかい素材で、容器の中栓にもよく使用されています。ナチュラルではHDPEよりやや透明度が高いです。汎用ポリ袋の素材として幅広く用いられています。一方、HDPEは、(密度の高いポリエチレン素材で、耐薬品性に優れ、業務用パーマ液などの容器の素材として使用されています。ポリエチレンは、製造方法により、異なった密度を有するポリエチレンが得られ、目的に応じて使い分けることができ、フィルム、シート、パイプ、ラミネート製品、電飾被膜、その他各種成型品に使用されています。
PP(ポリプロピレン)
ポリプロピレンは、 PVC(ポリ塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)などと並ぶ汎用樹脂で、生活に密着した分野で広く利用されている樹脂です。PPは、コスト的にもAS(アクリロニトリルスチレン)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)より安価であり、耐熱性や電気特性が良く非吸湿性であり、耐薬品性、耐ストレスラック性に優れています。また、成形加工の容易さとバランスの取れた物性から、幅広い分野で使用されています。
ポリプロピレンは、ブロー成型による容器(ボトル)だけでなく、インジェクション成形によって容器のキャップによく使われる樹脂です。ポリプロピレンは、着色剤などを入れないナチュラルの状態では半透明です。ただし、半透明といっても、最近は透明度のかなり高いものが増えてきています。また、ブロー容器の場合、配向ブロー成型など成形法により、透明度を高めることができます。
ポリプロピレンの長所としては、①成型加工性に優れる、②電気絶縁性が良い、③ヒンジ特性、④耐水性、⑤耐薬品性、⑥耐ストレスクラック、⑦低比重(軽い) などがあげられます。一方、短所としては、①低温では衝撃に弱い、②耐候性に劣る、③帯電性、④そり、ヒケが出やすい、⑤印刷・塗装・メッキがしづらい などがあげられます。
PS(ポリスチレン)
PS(ポリスチレン)は、スチロールともいわれ、有機溶媒に弱いが硬くて透明性や電気特性に優れるほか、溶融時の熱安定性や流動性などの成型加工性が良く兼価であるため、電気、工業用、包装用、雑貨用、発泡用などで多方面で用いられています。しかし、耐衝撃性が弱く、油類等に対しての耐薬品性に劣ります。
PCTA
PCTAは、飽和ポリエステル樹脂の一種で、比較的新しい材料です。PCTA は、PCT(ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート=高耐熱性のエンプラ)の酸成分の一部をIPAで置きかえたもので、イーストマンケミカルが開発したものです。
飽和ポリエステル樹脂は、単にポリエステルと呼ばれることも多く、元々は合成繊維として大きな発展を遂げた樹脂です。最近では、ボトルやフィルムなど合成繊維以外でも利用が増えています。PETボトルとして有名なPET(ポリエチレンテレフタレート)が、飽和ポリエステル樹脂として最も有名です。飽和ポリエステル樹脂には、ボトル、フィルムとしての性能が優れていること加えて、合成繊維が大型市場を形成しているため、コストが安い(価格競争力がある)、リサイクルが容易である、ハロゲンや「環境ホルモン」など有害物質を含んでおらず環境に優しいなどの特徴があります。
PFA
PFAは、フッ素樹脂の1種であるペルフルオロアルコキシフッ素樹脂の略号です。フッ素樹脂とは、フッ素を含むオレフィンを化学反応させて作る合成樹脂の総称です。テフロン加工で有名なテフロンもフッ素樹脂です。実は、テフロンは、ジュポン社がPFAなどのフッ素樹脂に付けた商標なのです。耐熱性、耐薬品性の高さや摩擦係数の小さいことがフッ素樹脂の特徴です。
TPX(ポリメチルペンテン)
TPX(ポリメチルペンテン)は透明で熱に強く、熱可塑性樹脂の中では最も軽い樹脂です。TPXは、その安全性により食品ラップから産業資材まで広範囲に使用されています。
TPXは結晶性ポリマーでありながら高い透明性を持ち、光線透過率はアクリルと同等、またはそれ以上という優れた性能です。また、融点が220°C~240°Cと耐熱性にも優れ、剥離性、ガス透過性、耐薬品性と実に多くの特長を持っています。
耐薬品性については、ポリプロピレンと同様ポリオレフィンであるため、他透明樹脂のポリカーボネートやアクリルと比較し、優れた耐薬品性を示しますので、各種実験器具や化粧品キャップ等に使用されています。
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